第5章 体育
「ん?あれって…。」
先生の隣にいた女の人は、見覚えある人だった。
(うーん…遠くて、顔はよく見えないけど、たぶん知ってる人…?っぽい。)
「どうした?見えたか?」
「うん、見えたよ。…あ、もう下ろして大丈夫だよ。」
「お、おぅ。それで、どうした?知ってる人だったのか?」
「うん、たぶん…。」
「たぶん?」
(もう少しで思い出せそうなんだけどなぁ…。うーん…。)
私より背が高くて、
大人しくて清楚で、
優しくて、
私と正反対の人…。
(もしかして…)
「お姉ちゃん?!」
「え?!あの人、お前の姉貴?」
「うん、最近会ってなかったから、気づかなかったけど。」
(まさか、お姉ちゃんが一流のお届け人として、学校に来るなんて思ってもいなかったなぁ…。)
私は驚きを隠せなかった。
お姉ちゃんは私を見つけて、遠くから小さく手をふった。
私も手をふる。