第3章 練習
「集中すればいいんでしょ、すれば!!」
カッとなった私はそう言って、ほうきにまたぐ。
(風向きを確認して…、深呼吸して…、)
「ふーーっ…。」
「闇雲にやってもダメだ。……っておい!聞いてんのか?」
白井くんが私に向かって何か言ってるけど、いちいち反論してると集中力が切れてしまう。
「………。」
私は目を閉じて集中する。
…………
目を閉じると、鳥の鳴き声、風で葉が揺れ動く音がはっきりと聞こえた。
(普段はあまり聞こえないけど、集中するとこんなに、聞こえるようになるんだ…。)
「…ぃ…!……ぉ…ぃ…!」
白井くんが何か言ってる。
(また、もっと意識しないとダメだーとか言ってくるに決まってる。)
私はそう思って、白井くんの言葉を無視していた。
ところが、白井くんは私に向かって大声で
「目、開けろバカ!!
コントロールできなくなるぞっ!」
と言った。
何をそんなに怒っているのやら。
(コントロールもなにも、私はまだ浮きもしてないんだから…。)
と、半分希望を持たずに、私は目を開ける。
「……!!」
いつの間にか、私は宙に浮いていたのだ。
そして私の目に映ったのは、
「すっごーーい!!」
ほうきに乗って初めて見る、とっても綺麗な景色だった。