第2章 ペア
「まず、風向きを確認する。
そしてほうきの先を、しっかり握って集中する。
………。」
(白井くん、すごい集中力…。)
私は白井くんの姿に圧倒された。
気がつくと、白井くんはふわりと宙に浮いていた。
「わぁ…!」
(すごい!私も、自由にほうきを操ることができたら…!)
白井くんは私の頭上をくるんと飛び、ストンと地面に降りていた。
「ま、ざっとこんな感じかな。分かったか?」
「え、あー。うん…!」
(とか言って、本当はあんまよく分かってないけど…(笑)
とりあえず、見よう見真似でやってみようかな!)
私はそう思い、ほうきにまたぐ。
すると白井くんが、
「とりあえず、今日はもう帰れ。」
と言った。
「えっ!?」
私はてっきり、練習するのかと思っていたため、白井くんの発言に驚く。
「お前、自分では分かってないと思うけど、身体はもう限界だと思うぜ?
だから、今日はもう帰って寝ろ。」
「え?う、うん。」
(なんだ…白井くんってば、私のこと心配してくれてたんだ。
私、白井くんのこと誤解してたかも…。)
私は少し、白井くんを悪く見過ぎていたのかもしれない。
だが、次の一言でそれは全部なくなった。
「このまま、お前が飛べないで実技テスト終わったら、たまったもんじゃないからな。」
「は、はあ~?!」
「勘違いすんな。お前のためじゃない、オレのためにやるんだからな!」
白井くんは私にそう指図すると、さっさと帰って行った。
(む、ムカつく~~!!なんなのあの態度。)
私もほうきを持って、寮に帰るのであった。