第1章 夢と憧れ
ほうきにまたいで、
風向きを確認して、
深呼吸して、
「すーはー…。」
集中して………
「それっ!」
しーん…
「なんで、飛べないんだー!」
今日もいつもと変わらず、全然浮かない。
(…というか、私のほうき壊れてるんじゃないの!?)
と、疑ってしまうほど。
「はぁ…、何がダメなんだろぅ…?」
私は空に向かって呟く。
すると私の頭上を、ぴゅんっと音をたてて誰かが飛んで行った。
「おーい、白井~。スピード出し過ぎるなよー。」
先生の忠告は聞こえているのか、私がみる限りでは分からない。
(でもあの白井くんは、ほうきの乗り方がうまいよなぁ…。)
体重移動がうまく、たくさん生い茂る木々の中を、軽やかに飛んで行く。
「……。」
思わず、私も見入ってしまう。