第6章 甘い罠◎
ーパタンー
部屋に入ると同時に、傑さんに抱き締められる。
力強いのに、とても優しく安心できる…。
傑さんが私に顔を近付けてきたかと思うと、唇が触れ合う。
次の瞬間、舌が口内に入ってきた。
傑さんの舌が私の舌にねっとりと絡み付く。
『んんっ…ん…』
あまりにも気持ち良い口付けにたまらず声が漏れてしまう。
もっともっとと気持ち良さを求める自分がそこにいた。
舌は激しく絡まり合い、唾液がピチャピチャといやらしい音を奏でている。
行き場のない混ざり合った唾液が口の端を伝う。
『泉智ちゃん、気持ち良い…』
離れたくないと言わんばかりに糸を引く唾液。
酸欠に陥りそうになった私は、肩で大きく息をする。
『お風呂に入っておいで?』
傑さんは私に優しく微笑んでくれる。
『あっありがとうございます。』
今までキスは何度かしたが、あんなに気持ちの良い口付けは初めてだった・・・。
唇を離した瞬間、とても名残惜しい気持ちに襲われた。
"私って、性欲強いのかな…"
なんだか恥ずかしくなり、熱いお湯を浴びて誤魔化す。
『あれ?洋服着ちゃったの?』
傑さんは笑いながら、風呂上がりの私に言う。
『タオル一枚だと心許なくて…』
『どうせ全部脱ぐのに…』
傑さんはそう言いながら、私の首筋を舐める。
『ひゃあっ…』
『さて、私もシャワーを浴びてくるよ。
そこに温かいお茶を入れておいたから、飲んで待っていてくれ』
"お茶を用意してくれるなんて、なんて紳士なんだろう…
でも、どうして私なんかにこんなにも良くしてくださるんだろう…?
傑さんなんて女の人に困る事ないだろうし。
あんなにも素敵な人に出会えるなんて、私の運が良かったのかなぁ?
ようやく私にも運が回ってきたのかな…"
『お待たせ』
しばらくすると、傑さんが戻ってきた。
濡れた髪はとても色っぽく、腰にタオルを巻いて上半身は裸…
腹筋はとても綺麗に割れていて、水滴が滴っているせいかより色っぽさを助長していた。
私は恥ずかしく、目線を下へと逸らす。
『どうして下を向くのかな?
私の目を見て』
そう言うと、傑さんは私の顎をクイッと上げ、再び口付けを落とした。
激しい口付けを交わしたまま、ベッドへと押し倒される。
『泉智、もう止められないからね』