第8章 後遺症◎
『泉智大丈夫なのかしら…』
『・・・。』
『怪我は傷むみたいだけど、とりあえずは大丈夫そうだった』
『虎杖、泉智に会ったの?』
『ああ。
どうしても早く謝りたくてさ…』
『あいつ…本当に怪我を負わされただけなのか?』
話している伏黒は怒りを必死に抑えているように見えた。
『応、怪我だけだ。
ただ、俺らの到着があと少し遅れていたら危なかったって…
話してる時は少し震えてるようにも見えた』
『そうか…』
『で、泉智は夜ご飯食べに来ないの?』
『まだ安静にしろって硝子さんに言われたみたいで、しばらくは部屋から出られないんだってさ。
だからこの後俺が持って行くつもり!』
『いや、俺が持ってく』
伏黒が食い気味に言う。
『あのさ、2人に言っとく事あんだけどさ…』
『何よ?!』
『?』
身を乗り出して聞く釘崎と、あまり興味のなさそうな伏黒…
『俺と吉本、付き合うことになったから』
・・・。
『ええぇぇえぇえええ』
『はああぁぁああぁああ?!?!』
思った通りの反応をする2人。
周りにいた先輩や先生達も驚いてこちらを見ている…
『おい、静かにしろよ…』
『出来るわけないでしょ?!何なのその急展開…』
『お前嘘ついてんだろ?!?!』
『そんな嘘つく必要ねぇだろ?!?!』
今日あった事を思い出しながら、2人に説明する。
俺のせいで傷付いてしまった吉本に、どうしても何かお詫びがしたくて、俺は食事の補助を買って出た。
ただ食事の手伝いをするだけだったのに、吉本が弱々しく話す姿を見て、俺が一番近くでこいつを守りたいと、そう強く思ってしまった。
何でこのタイミングで好きだと言ったのか、俺にも分からなかった。
ただ、今しかないとそう思った。
『えっと…』
沈黙の後、吉本は戸惑った顔をして俯きながら言う。
俺の一世一代の告白は、フラれて終わった。
まあそれでもいい、いつかはきっと良い思い出になる…はず……
でも、俺の気持ち伝えられたし、後悔はねぇ!……はぁ…
『悪かった吉本、混乱させちまったよな…
これからもともだ…』
『よろしくお願いします!!!』
『…へ?!?!』