第6章 甘い罠◎
今日はデート当日・・・
昨夜は慣れないパックをしてみたり、ボディクリームをしっかり塗り込んで寝た。
"私なに浮かれてんだか…"
今朝は出発の3時間前に起きてメイクやヘアセットを行っている。
準備も出来たし、少しお腹も空いたので、腹ごしらえのため食堂に行くことにした。
きっとこの時間は誰もいないだろう、そう思い食堂へ向かう。
『泉智!!心配したわよ!!!』
釘崎さんの一言で、そこにいた全員がこちらを振り向く。
そこには一年ズ、先輩方、そして五条先生がいた。
『なんでそんなおめかししちゃってんの?!』
釘崎さんに大きく突っ込まれる。
周りからの視線が痛い・・・
『ちょっと友達と出掛けることになっていて…』
私は精一杯の笑顔で言うが、自分で分かるほどに引き攣っていた。
『泉智〜!もう体調は平気なの〜?』
五条先生がいつものテンションで話しかけてくれる。
『おかげさまで、もうすっかり治りました。
ご心配おかけしました…』
私は料理を取りに行き、みんなが座るテーブルで食べ始める。
『お前、みんなが戦ってる時にどこにいたんだよ?』
真希先輩が私を見て言う。
『・・・えっと…』
『こいつ、呪詛師の男…あ!あの釘崎たち襲った奴!
あいつにフルボッコにされてたんだよ!
気付いたらぶっ倒れてて、死んでるかと思ってまじで焦ったよ〜』
虎杖君が上手くかわしてくれた。
『あんな雑魚に襲われるとは…
もっとしごかねぇとな!』
『はっ…はい…』
やはりあの件については、釘崎さんや先輩たちは知らないようだ…
良かった…
昔のように、誰かに軽蔑の目で見られるのはもう耐えられない…
ここから居場所を取られたら、私はもうどこにも行く所がなくなってしまう…
ご飯を食べ終わると、そろそろ良い時間だったので食堂を後にする。
すると棘先輩が私を追いかけてきて、『明太子』と頭をポンポンとしてくれた。
"よく頑張った"と言ってもらえてるようで、自然と笑顔がこぼれた。
『泉智、きっと男と会うのよ』
『は?』『え?』
『だってあの子私たち以外に友達いないじゃない?
しかもあんなおめかしして…おかしい!!』
『ああ…』
1年ズが話している内容は、もちろん泉智の耳には届いていない。