第6章 甘い罠◎
『傑さん!』
気付かないうちに、傑さんが隣に座っていた。
私は何だか自分が悪い事をしたような気持ちに陥ってしまい、俯いてしまう。
『何かあったのかな?』
傑さんは優しい笑顔で聞いてくれる。
『まあ…はい……』
"あんな事があったなんて言えない"
『よし!決めた!
明日空いてるかな?この前話した、1日デートしないかい?』
『えっ?!明日ですか?!』
『あれ?先約が入ってる?』
『・・・いいえ…。』
『じゃあ決まりだ。少し遠出でもしよう。』
あんな事があった後だし、少しでも気分を紛らわせたい…
きっとこのままだと私は負の感情に飲まれ続けてしまうだろう…
私は意を決して答える。
『はい。大丈夫です。』
男性とのデートは生まれて初めてのことだ。
しかも相手は大人の男代表のような傑さん…。緊張しないわけがない。
『じゃあ明日、11:00に待ち合わせにしよう。
楽しみにしてるよ』
傑さんは、そう言って優しく私のおでこにキスを落とした。
・・・デート…。
どうしよう、何を着よう…。
私はドキドキしながら寮へと戻った。
『夏油、泉智ちゃんと何話してたの?』
『明日デートするんだよ』
『え〜!俺も混ぜてよ〜!
また泉智ちゃんとエッチしたいなぁ』
『重面、あの子をかなり痛みつけてくれたみたいだね。よくやってくれたよ。
君は悪役、私は白馬に乗った王子様。
悪役が悪ければ悪いほど、王子様が輝いて見えるんだよ』
『あんな可愛い子とエッチ出来るならお安い御用だよ!』
『それにしても、あの薬の効き目はすごいな。
また使うとしよう』
『エッチしてる最中は全く抵抗できてなかったよ。
・・・あ、一回だけめぐみ君?とか言いながら立ち上がってたなぁ。
まっ、フラフラだったけど。ははは』
『めぐみ君?
・・・へえ。おもしろい』