第6章 甘い罠◎
手足の麻痺も回復し、特に問題もないので、私は自室へと戻った。
療養のため、1週間お休みをいただいた。
結局部屋に籠るだけだから、そんなに休まなくてもいいのにな…なんて思いながら、上の決定には口を出せなかった。
まあでも、誰とも会いたくないという気持ちがかなり大きかったから、ちょうど良かったのかもしれない。
あの件を知っている生徒は、恵君と虎杖君だけらしい…
でも、やっぱり気まずい。
ふとした時に行為の一部始終がフラッシュバックし、穢れてしまった事のショックが大きく胸が苦しくなる。
後から聞いた話によると、あの男は呪詛師だったらしい。
そんな奴に犯されるなんて…。
油断していた自分が情けなくて堪らなくなる。
考え事をすると負の感情にしかならないから、今日は無心で部屋の掃除をすることにした。
・・・と言っても、日頃から整理整頓はしている方だから片付ける所がない。
"あ…ブラウス1枚ダメにしちゃったんだった…
新しいの買いに行こう…"
重い腰を上げて、私は外に出ることにした。
お目当てのブラウスを購入し、少し歩くと河川敷が見える。
"ちょっと休憩しようかな"
私はコンビニで飲み物を購入し、河川敷に向かって階段を登る。
"わ〜!!夕陽きれい〜!!!"
夕陽が、目の前に広がる景色をオレンジ色に染め上げていた。
ベンチがあったので、腰を掛け夕陽が落ちていくのをただひたすら無心で見続けた。
『また会ったね』
隣から急に声をかけられ、驚いて声の方向を見る。