第6章 甘い罠◎
呪いの種子を腹に撃ち込まれ、敢えなく戦線離脱してしまった…
あの特級は一体なんだったんだ?
泉智があの場にいなくて本当に良かった。
俺は自分だけで手一杯だった…
『硝子さん…吉本が……』
隣の部屋で虎杖が話しているのが聞こえる。
"泉智がどうした?"
『酷い・・・
誰がこんな事を…』
硝子さんが今にも消えそうな声で言う。
『分かんねえ…俺が東堂と校舎戻ろうとしたら、森ん中で倒れてて…』
『泉智がどうかしたのか……?』
俺は傷む腹を押さえながら、隣の部屋まで行く。
『・・・!!!』
ベッドの上には、無惨な姿の泉智がいた。
『誰が・・・』
俺は怒りのせいで頭がおかしくなりそうだった。
五条先生が硝子さんに呼ばれ、泉智の状況について説明する。
『顔は複数回殴られてる。その時に唇を噛んだんだろう。
首も絞められてる…な。
あとは…強姦されてる。少なくとも3回。口内と膣内での射精も確認できた。
・・・酷いな…』
『僕が…ぶっ殺してしまおうか』
いつも冷静な五条先生の顔付きがいつもとは全く違う。
今すぐにでも人を殺してしまいそうな顔だ。
『念のため…後処理は行っておいた。
あとは本人が起きるのを待つだけだ』
『この事は上の方々や生徒には言うのですか』
俺は出来るだけ冷静を装って、五条先生に聞く。
『言わない。ここにいるメンバーだけの秘密だ。
口外はするな。
これ以上泉智を傷付けたくはない』
それから俺たちは1時間程泉智の意識が戻るのを待った。
伊知地さんがやって来る。
『吉本さんの意識が戻りました。
犯人は、サイドでポニーテールをしている男とのこと。
・・・っ』
伊知地さんの言葉が詰まる。
『伊知地さんどうされたんですか?』
『男の術式なのかは不明ですが、強姦されている間は手足の自由を奪われていたそうです。
ただ…陵辱されている一部始終意識はあったと…』
伊知地さんは言葉に詰まりながら言う。
『伊知地ありがとう。
サイドポニーテールは歌姫達を襲って逃げた奴か…
あの時最優先して殺しておけば良かった…』
五条先生は唇を噛み、握り拳を力強く握っていた。