第6章 甘い罠◎
俺は東堂と特級を追い込んだ。
最後は五条先生がどうにかしてくれたけど…多分あいつは死んでねぇな…
『後ちょっとだったのになぁ』
『次こそ撃破してやろう、ブラザー』
『応!』
そんな話をしながら東堂と校舎に戻ろうとした時、森の中で誰かが倒れているのが見えた。
『あれ…?あそこ、誰か倒れてねぇか?』
『・・・!!!吉本?!』
呼んでも応答がない。
頬にあざや傷が複数あり、口の端からは白濁液が流れ、唇からは出血していた。
ブラウスは破られ下着が見えていた。
スカートは履いていたが…無数の白い液体が付着していた。
そして、そこに立ち込める男特有の臭い・・・
交流会前の吉本とは全くの別人がそこにいた。
『こっ…これって……』
血の気が引いて行くのが分かった。
『吉本!吉本!!!』
俺は意識のない吉本を抱き締め、何度も名前を呼んだ。
『ブラザー、とりあえずジャケットをかけてやれ』
取り乱した俺を落ち着かせるように東堂が言う。
俺は自身のジャケットを脱ぎ、横たわる吉本にかけた。
『誰がこんなことを・・・』
『とりあえず医務室まで連れて行くぞ。
犯人探しはその後だブラザー』
東堂が吉本を持ち上げ、2人で医務室へと走った。