第6章 甘い罠◎
『はあっはあっはあっ』
私は恵君を探し、森の中を走っているが出口が見えない。
"あれ…この森ってこんなに広かったっけ…
ここを抜ければ開けた所に出る…走らなきゃ…!
でも、さっきから身体の自由が効かないような気がする…"
走ってみてはいるが、いつものようなスピードが出ない。
一歩一歩がとても重たく感じられる。
『ダメだっ…手足が思うように動かなくなってきちゃった…
少し休憩しよう・・・』
もう少しで開けた場所に出るという所で、限界を感じた私は木に寄りかかり休憩を取る事にした。
『はあ…はあ…はあ…』
木に寄りかかってるだけなのに、息が上がる。
休憩してるはずなのに、呼吸が落ち着かない…
"なんなのこれ・・・手足が動かない・・・"
私は宿儺に奇襲された時の事を思い出した。
そういえばあの時も、私の足はピクリとも動かなくなってしまった。
まさか虎杖君がまた宿儺に…?!
しかし、私の周りに呪いの気配は感じられない。
だとしたら、この手足の麻痺は一体なんなのだろう…
『わ〜!!女の子みーっつけた!!!
可愛い〜!ラッキー!』
"だっ誰?!?!"
私の目の前に、サイドポニーテールの男が現れた。
『君、お名前は?』
『吉本泉智です……』
こんな所にいるなんて誰…?
高専にいるということは、きっと呪術師の誰かなのだろう。
助けてもらおう…
この人に肩を借りて、医務室まで連れて行ってもらおう…
『すみません…医務室まで行きたいのですが、ちょっと手足が動きづらくて…
助けてもらえませ…』
ーカチャッー
ヒヤリとする感触が私の喉に走った。
・・・刀?
『騒いだら殺すからね?
ちょっとの間、俺が泉智の相手してあげる』