第6章 甘い罠◎
『泉智ちゃん、何を食べるか決めたかな?』
『えっと…』
"全部高くて選べない…"
『このコースを2つお願いします』
金額を気にして頼まない私に気付いたのか、傑さんが私の代わりに注文をしてくれた。
『あっありがとうございます…』
『今日は泉智ちゃんと話に来たんだから、気を遣わず楽しい時間を過ごしたいな』
傑さんの一言一言がとても優しく、彼の人柄にどんどん引き込まれていく自分がいた。
『泉智ちゃんはあの学校に通っているのかい?』
『そうです。今高校1年生です。』
『高1か。何か悩みでもある顔してるね?』
『悩み…。
そうですね、自分って必要なのかな?って思っちゃうことがあります。。』
『私も同じ事を思った事があるよ。
自分の思うようにしたらいい。自分の意志を貫きなさい』
『ありがとうございます!』
『恋愛はしてるのかい?』
私は紅茶を一気に飲んでしまい、むせてしまう。
『図星なのかな?ハハハ、泉智ちゃんは分かりやすい子だね。
私はこんな可愛い子に恋されてる男が羨ましいよ』
そういうと傑さんは私の頭を撫でた。
顔に血液が集中し、熱くなってきた。
"どうしよう、今顔真っ赤だよ…"
『この前の男たちから奪い取って、私がホテルに連れ込みたいぐらいだった』
耳元で囁かれ、私は恥ずかしさのあまり机に顔を突っ伏した。
『悪い悪い、冗談が過ぎたね。』
どれぐらい経っただろうか、傑さんとの会話はとても弾み、いつの間にかコース料理を全て食べ終わっていた。
『さっき、学校でイベントがあると言っていたね?』
『はい!そのために、今頑張って練習しています!』
『じゃあ、これをあげるよ。
そのイベントの時にこれを飲むと良い。とても頭が冴えて、身体も元気になる水だよ。
・・・なんて大袈裟に言ったけど、ただのスポーツドリンクさ』
そう笑いながら言うと、飲み物をくれた。
『ありがとうございます!
体力使うので喉も渇くだろうから助かります。』
『じゃあ気を付けて帰るんだよ。
また今度は1日デートしよう』
そう私の耳元で言うと、顎をクイッと持たれ、そのまま軽く口付けされた。