第6章 甘い罠◎
私は日々鍛錬に励んだ。
『泉智は呪符の効力が薄れて来た時のために、呪具を持ち歩くといいぞ』
真希先輩に言われる。
『そうだな。ここにいる誰よりも近接戦は弱いが、何もないよりかはいいだろうな』
『しゃけ』
パンダ先輩と狗巻先輩も続く。
私は呪符の他に、小刀のような呪具も持ち歩くことになった。
『よし!今日もお前らシゴいてやる!!』
午前中目一杯シゴかれ、ようやくお昼を迎える。
『1年、私らの飲み物買って来い!』
真希先輩にお遣いを頼まれ、3人で自販機へと向かう。
すると向こうからかなりガタイの良い男の人と、真希先輩にソックリな女性が歩いて来た。
『おい泉智、お前ここから離れろ』
恵君が突然私に言う。
『え?なんで?!』
『これから面倒な事になりそうだ。
俺と釘崎で何とかするから、お前は外のコンビニで頼まれた物買って来てくれ』
『・・・分かった』
ま〜た私だけハブだ。
そんなに私が邪魔なのかな…いや、それも自業自得だ。
宿儺の事で恵君には迷惑かけてるし、虎杖君だって助けられなかった…
『所詮私はどこへ行ってもお荷物なのかなぁ』
校門前で伸びをしながら、つい言葉に出てしまった。
『やあ』
後ろから聞き覚えのある声が聞こえ、振り返る。
振り返るとそこには、男たちにホテルに連れ込まれそうになった時に助けてくれた男性がいた。
『あっ!!!以前助けていただいた!!!
その節は本当にありがとうございました。』
私は深々とお辞儀をする。
名前も連絡先も聞けず、もう会えないかと思っていた…
『じゃあ、この間の借りを返すということでお昼ご一緒してくれないかい?』
『はい!喜んで!!!』
『そういえばこの間名前を聞くのを忘れていたね。
お名前は?』
『吉本泉智といいます!
お名前は…?』
『傑と呼んでくれ』
とても優しい笑顔で微笑んでくれた。
・・・傑さん。
お名前までカッコ良い…。
『お昼はここでいいかな?』
そこはとてもお洒落なレストランだった。
『はい!
あっ、、でも私お金…』
『学生がお金の心配はしなくていいんだよ。
私が誘ったんだ、私が奢らせてもらうよ』
…なんてスマートなんだろう。
そして私たちはレストランの中に入って行く。