第5章 秘密◎
『泉智、少し落ち着こう』
先生は私の背中を優しくさすってくれる。
あの夜の事を誰かに話せば、何か変わった?
私がもっと強ければ、虎杖君を救えた?
何が正解なのか分からない…虎杖君ごめんなさい…
私が代わってあげられれば良かったのに…
『誰も悪くないんだよ。
どうしようもなかった。だから自分を責めなくていい』
先生は私をそっと抱き締めてくれた。
『悠仁の分まで、君たちは強くなりなさい。』
先生は私が落ち着くまで抱き締めてくれて、仕事に戻って行った。
私も準備をし、恵君と釘崎さんの所へ向かう。
『眼鏡…
あ、壊れちゃったんだ…まっいっか。』
"そういえば、釘崎さんの怪我は大丈夫なのかな?
恵君は…会いに来てくれた形跡もないし、まだ怒ってるのかな…
今回の件で余計怒らせちゃったかも。気まずい。"
そんな事を1人考えながら歩く。
恵君と釘崎さんの姿が見える。
『泉智!大丈夫なの?!』
釘崎さんが聞いてくれる。
『ありがとう…
たくさん迷惑かけちゃってごめんなさい…』
『遅いぞ』
恵君は厳しく私に言う。
『ごっごめんなさい…』
少し小声になってしまった。
『恵!こいつ誰だよ!!』
恵君の隣にいる眼鏡の女性が言う。
『こいつは吉本泉智です
呪符使い。自分の呪力に気付いたのも最近なんで、お手柔らかにお願いします』
『『宿儺の女か!!!』』
眼鏡の女性とパンダの着ぐるみ…?が口を合わせ言う。
もう1人の男の人は、こちらをジッと見て何も言わない。
『宿儺の女じゃないっすよ』
恵君が呆れながら言う。
『おい棘、お前変な想像してんだろ?
顔真っ赤だぞ?』
『おかか!!!』
おかか…?
なんだろう、この不思議な人たち…
『禪院先輩、呪具の扱いなら学生一』
『私のこと苗字で呼ぶんじゃねぇ、真希だ』
『呪言師、狗巻先輩
語彙がおにぎりの具しかない』
『パンダ先輩』
『吉本泉智と申します!
呪符を扱います!まだまだ未熟ですが、よろしくお願いします!』
私は深々と頭を下げる。
"パンダ先輩とは一体…"
『おい泉智、早速だが京都姉妹校に出てもらうぞ』
『京都?姉妹校??』