第5章 秘密◎
『やっ…離して…!』
かなり強い力で腕を掴まれ、逃げられない。
『この辺ホテルあるよね?』
『うん、あの角曲がったとこにある』
『バニーちゃんのコスプレないかなー?』
『はははは』
私が中学時代にいじめられていたクラスの男子たちだった。
何を浮かれていたのだろう。
所詮私は"元いじめられっ子"からは抜け出せないんだ…
『大きな声出したら殺すから』
そう言われ、私は大人しく男たちに従い、ホテルまで着いて行く。
『君たちそれ、同意の上?』
・・・誰?
そこには身長の高い、少し長めの髪をハーフアップに結んだ男の人がいた。
『お前誰だよ?!同意の上に決まってんだろ?』
『お前には聞いてない。
私はこの子に聞いている。』
『・・・っいいえ…
私は…同意していません…
たっ…助けてください』
『チッ…
お前ら行こうぜ、こいつよりいい女なんて山ほどいる!』
男たちは去って行った。
『あっありがとうございました…』
私はその男性にお礼を言う。
『怪我はないかい?』
『はい!本当に助かりました…
私元々いじめられてて、自分を変えたいって思ったんですけどやっぱりダメでした…
元いじめられっ子は一生付き纏うものだなって…』
話しながら涙を堪える。
"この人にそんな事話したって何も変わらないのに"
『自分を変えようとすることは、とても良いことだよ。
常に自分が良いと思う方向に変わろうとする、私はそんな君が素敵だと思うけどね。』
『…あ…ありがとうございます…』
彼の優しい言葉に、私の心臓はドキリと跳ねた。
『とにかく無事で何より』
男性はニコリと微笑み、肩をポンと叩いてくれた。
"かっこいい…"
私はその男性の教養のある、素敵な笑顔に吸い込まれそうになった。
『気を付けて帰りなさい』
『ありがとうございました!!!』
また会える事を願い、私はお辞儀をして帰る。
『夏油遅いよ〜。何してんの〜?』
『待たせて悪かったね、真人』