第4章 仲間
『やっと戻ってきた〜!
っつーか、なんでお姫様抱っこなわけ?!』
釘崎さんが不審な顔で虎杖君のことを睨んでいる。
『いやいや、俺何にもしてねーから!
吉本、転んで両膝やっちゃってさ、歩くの辛そうだったから抱えて戻ってきたってわけ!』
『足、大丈夫なの?』
釘崎さんが心配そうな顔で私に聞いてくれた。
『うん!ありがとう!血は出ちゃってるけど、とりあえず平気!
ほんとドジって嫌になっちゃうよね…』
笑顔で答えたつもりが、引き攣った笑顔になってしまった。
『あ゛ーー!泉智!この血まみれの花柄ハンカチ!!
ブランド物じゃん!高いんじゃないの?!勿体無い!
虎杖、あんたハンカチとかちゃんと用意してないの?!』
『悪りぃ、俺ハンカチとか持ち歩くタイプじゃないんだわ…』
『五条先生と虎杖はハンカチなんて持ち歩いてるように見えないだろ』
『ちょっと恵ー!僕まで巻き込まないでよ!!
ハンカチは気分で持ち歩いてるよ!今日は持ってないけどさ!』
みんなが楽しそうに話していて、私は足の痛みを忘れて、思わず笑ってしまった。
小中学生の時は、いつも笑い者にされていた。
でも、高専に来てからはとてもよく笑うようになった気がする。
笑うって気持ちいい、そう思える。
みんなが私を尊重し、大切にしてくれる。
みんなのおかげで、私も自分自身のことが少し好きになれた。
これからもずっと、みんなと笑って過ごしていたい。