第4章 仲間
すると虎杖君が私を抱え、洞窟内にあった大人2人がギリギリ隠れられるような窪みに逃げ込んだ。
私が前に立ち、虎杖君は私の後ろに立つ。
身体を密着させないと入れない。
虎杖君の吐息が耳に当たるーー
私の心臓はこれでもかという程大きな音を立てて動く。虎杖君に聞こえないだろうか?不安でたまらなくなる。
すると虎杖君は私に腕を回し、バックハグのような体勢になる。
『狭いところでごめんな…。
さっきは言いづらい事話してくれてありがと。
俺はお前を必要としてる。高専のみんなもだ。
だから吉本、まずは自分のこと大切にするんだぞ』
耳元で呟かれ、身体がビクリと反応してしまう。
虎杖君の腕に力が入り、ギュッと抱き締められる。
『ありがとう…』
嬉しくて泣きそうになり、小声で答えた。
隠れてから何分経ったのだろう…
呪霊は去って行ったようだが、虎杖君はしばらく私を離そうとはしなかった。
『いた…どり君?』
かなり長い時間、何の動きもなく、身体は密着していたままだったのでたまらず声を掛けた。
『あっ、悪りぃ…
よし!戻るか!!!』
窪みから出ると、突然ふわりと身体が宙に浮く。
『?!?!』
気付くと虎杖君が私をお姫様抱っこしていた。
『重いよ!!降ろして!虎杖君が怪我しちゃう!』
『吉本軽いのなー!余裕だわ!このままおとなしく俺に運ばれとけ〜』
虎杖君は笑いながらそう言ってくれた。
『私とチーム組まされたばっかりに、せっかく頑張って祓ったのにパーになっちゃったよね。。
本当にごめんなさい。
この借りはいつか必ず返させてね!!!』
『そんなのいいんだよ。
吉本の話聞けたし!仲良くなれたじゃん!
あっ!借りで思い出したんだけどさ、じゃあ今眼鏡外してみてよ?釘崎が可愛いっつってたから、俺気になっちゃってさ!』
『あ…うんっ。』
私は眼鏡を外して、虎杖君に笑顔を向ける。
『・・・天使かと思った…』
虎杖君が何か小さい声で言ったが、聞き取れなかった。
『虎杖君今なんて言っ『到着〜!!!』』
私の質問にかぶせるように、虎杖君がゴールを伝えてくれた。
私たちは途中棄権という形になってしまったが、無事みんなの元に戻ることができた。