第3章 宿儺◎
宿儺に解放された私は、その場に座り込む。
『・・・吉本!!まじでごめん!!!
今やった事全部俺の意思じゃないだ!俺、宿儺に乗っ取られてて、それで『おい!泉智大丈夫なのか?!』
かなり焦りながら弁解する虎杖君を遮り、駆け寄ってきた恵君が血走った目をしながら私に言う。
『私は大丈夫。。心配かけてごめんなさい…』
『なんでこんな事した?!お前は自分の命をこんな所で落とすつもりだったのか?
それともなんだ?男とそういう事をするのは慣れてるのか?
呪術も使わず何やってんだよお前は!!!』
『・・・恵君?』
こんなに怒っている恵君を見るのは初めてだ。
『自分の命も大切に出来ない奴が、呪いから人を助けられるのか?お前は命を軽々しく考え過ぎだ!!!』
『ごめんなさい。
でも、私は恵君を守りたくて・・・出来ることはやろうと思ってそれで・・・』
『言い訳はいい。お前もう高専に戻れ』
恵君に突き放されてしまった。
確かに私のしたことは無茶だったかもしれない。
でも、私はただ恵君を守りたくてそうやっただけなのに…
『ごめんなさい』
小さく呟き、その場を離れようとした時
『今、どういう状況?』
突如として現れた五条先生が言う。
恵君が全て説明してくれた。
『泉智〜申し訳ないんだけど先に高専戻れる?
ちょっと今日の任務は君には重荷過ぎただろうから、先に戻ってゆっくり休みなー!』
五条先生は明るく振る舞ってくれた。
『わかり・・ました。
お気遣いありがとうございます。失礼します。』
私は溢れ出そうになる涙を堪えながら、その場を後にした。
『ファーストキス、だったのにな…』
1人呟く。
でも私は、宿儺にファーストキスを奪われたことよりも、恵君に突き放されたことが悲しくて痛くて辛かった。
誰かに嫌われることは慣れているはずだった。
でも、恵君から発される言葉1つ1つ、全てが私の心に突き刺さった。
この気持ちはなに・・・?
それにしても私って、どこに行っても何もできない。
お荷物から抜け出せない。
空を見上げると、憎いほど満天の星が広がっていた。