第3章 宿儺◎
宿儺は私のことを、上から下まで舐めるように見る。
『おい女、お前は俺に従えるか?
お前次第で、男だけでも生きて帰してやるぞ』
私の上に跨り、気持ち悪いほどの笑みを浮かべそう言う。
『泉智!!!そんな奴の言うことはデタラメだ!
今すぐ力を振り絞ってそこから逃げろ!!!』
恵君が私に叫ぶ。
"ちくしょう…足が動かねえ…
宿儺の野郎、泉智に何させるつもりだ…"
"ここから脱することは確実に不可能。最悪2人とも殺される。
だったら素直に従って、恵君だけは生かして帰す。"
『私が何をすればここから解放してもらえますか?
私はいいです、彼だけは生きて帰してください。お願いします。』
宿儺に圧倒され、声が震える。
『泉智!!!逃げろ!!!
変な事考えるんじゃねえ!お前が敵う相手じゃない!』
恵君の叫び声が聞こえるが、私は聞こえないふりをした。
"恵君だけでも助かればいい。
私に失うものなどない!!!"