第3章 宿儺◎
私たちは日々鍛錬に打ち込んだ。
恵君との実力差はかなりのものだったし、他の先輩方も強者揃いだと聞いていた。
一方の私は・・・まだ自身の術式に苦戦していた。
ただ、分かったこともいくつかある。
呪符は、戦闘・護身・結界の大きく3つから成り立っている。
私がどのようにお札を使うかを念じると術式が作動する、という流れだ。
五条先生曰く、まだまだ使い道を拡げていけるそう。
呪力量がもっと上がれば、"封印"という技も使えるようになるらしい。
・・・私にできるのかな?
未だに3級の呪霊すら上手く倒せない。
"でも、自分で決めた道だから頑張らないと!!!"
『泉智ってさ〜、足速いよね??』
ある日、五条先生に唐突に言われる。
『そうですね。こう見えて運動神経は良いのかも。』
恵君が答える。
私は昔から運動神経だけは良かった。
50mは6秒台で走れるし、球技や高跳び、全部得意だった。
『ドジな雰囲気出しまくってんのに、足速かったら敵もビックリして隙作れるかもね〜!』
・・・恵君といい五条先生といい、私をなんだと思ってるんだろう。
本人を目の前に、悪口なのか褒められているのか分からない会話が弾んでいた。
『足が速いのはかなりの武器になるよ?泉智の術式なら尚更!
これからは術式の強化をベースに、その足の速さも活かそう!』
五条先生は明るく私の背中を押してくれた。