第8章 後遺症◎
閉園になり、俺たちは遊園地を後にした。
『俺、ちょっとトイレ行ってくるわ!』
『分かった!!
ここで待ってるね!』
『今日の俺、あいつに持ってかれ過ぎだろ…』
今日の出来事を早送りで思い出し、思わず独り言が漏れてしまう。
このまま帰ってしまって、俺は後悔しないだろうか…そんな事まで考えてしまった。
俺は手を洗い、少し髪を整え吉本の元へと戻る。
・・・しかし、吉本はどこにもいない。
『あれ?ここで待ってるって言ってたよな…?』
心配になり、辺りを見回すも見当たらない。
『少し待ってみるか…』
10分程待っただろうか。
吉本から連絡が入る。
「急用を思い出したので、先に帰って下さい
ごめんなさい」
"こんな時間に急用ってなんだよ…"
俺はそう思いつつも、吉本に返信をする。
「大丈夫か?何かあったのか?」
少し待つが返答はない。
"俺なんかしちゃったかな…?"
そんな事を考えたが、思い当たる節が多過ぎて頭を抱える。
『さっ、じゃあ今日の余韻に浸りながら一人で帰りますかね〜』
伸びをしながら独り言を呟き、帰ることにした。
『おい小僧、お前まさか小娘の言ってる事を鵜呑みにしてないだろうな?』
宿儺が突然口を開いた。
『は?うるせーよ。
俺は今フられて凹んでんのー。追い討ちかけてくんなよ』
痛いところを突いてくる宿儺に苛立つ。
でも確かに、この時間から急用なんてありえない。
俺がトイレに行くまでそんな素振りは一切見せなかったし、なんなら超絶笑顔で待ってるねって言ってた…。
宿儺の言う通り、何かがおかしい。
『…あいつ、何かに巻き込まれてんのかもしれねえ』
『ああ、そう考えるのが妥当だろうな?
それで?お前はその見えない敵に一人で立ち向かうのか?』
『・・・』
俺はスマホをポケットから取り出すと、伏黒に電話をかける。
『こんな時間に何の用だ?』
『悪りぃ伏黒・・・
吉本がいなくなった』
『は?!今どこだ?!?!』
伏黒がかなり取り乱しているのが電話越しに伝わってくる。
『よ◯うりランドだ。
今から来れるか?出来れば釘崎も…』
『よ◯うりランド?!なんでそんな所にいる?』
『理由は後で話す!頼む!すぐ来てくれ!!』