第8章 後遺症◎
閉園を迎え、私たちは名残惜しくも遊園地を後にする。
『俺、ちょっとトイレ行ってくるわ』
『分かった!ここで待ってるね!』
虎杖君が戻るのを待っていると、後ろから誰かに声を掛けられる。
『泉智ちゃん、久しぶり』
聞き覚えのある声に、身体中の血の気が引いていった。
"逃げろ"
脳が警告している。とにかく走って逃げろと。
ービリビリー
『!!!
・・・イタッ…』
走ろうとした途端、前に大きく転んでしまった。
後ろの男にワンピースを掴まれていた。
そのせいで、お気に入りのワンピースの裾が破れてしまった。
『うっわー痛そう!!
声掛けられて逃げるなんて失礼じゃない?
つーかワンピース破れちゃったね、めちゃくちゃセクシーだよ』
"この男…"
『泉智のその顔本当そそられるね〜』
"私を…"
『また俺とエッチする?』
"どん底に落とした奴だ…"
そこにいたのは、私を凌辱したサイドポニーテールの男…
そしてもう一人、生気を感じられない目をした男。
『さっ、俺たちにご同行願いますよ〜
大きな声出すの禁止ね?お友達殺すよ?』
髪を無理矢理引っ張られたかと思うと、そのまま立たされ歩かされる。
"虎杖君…今出てきちゃダメ……あなたに迷惑かけたくない…"
『あなた達に従います。だから友達には何もしないで…』
私は声を絞り出す。
『泉智ちゃんは聞き分けのいいお利口さんだね〜!』
サイドポニーテールの男に頭を撫でられる。
"気持ち悪い・・・"
私は人気のない場所に連れて来られた。
"ここはどこ…?雑木林…?"
『あのさ、連れに連絡してくれる?
用事を思い出したから先に帰りますって』
『あなた達、彼が怖いの?
そうね、彼はあなた達よりも何倍も何十倍も強い。あなた達なんて彼にかかればすぐに…』
ーバチンッー
サイドポニーテールの男に容赦なく頬を殴られた。
痛みで涙が出る。
『相変わらず威勢だけはいいね?
はい、お友達に送って?君もお友達も、まだ死にたくないでしょ?』
私はスマホを開き、虎杖君に連絡をする。
すぐに返事が来た。
"虎杖君本当にごめんなさい・・・"
『あなた達の目的は何?私を殺すこと?』