第8章 後遺症◎
『ちっちげえよ!!そういうことじゃない!!!
仲間として、な!!!』
虎杖君は私の表情から何かを察したのか、焦りながら弁明する。
『そっそうだよね、ありがとう!!
無茶しないよ。仲間だからこそ、頼り合う。
それでこそ仲間だよね!』
"告白されたのかと思った…"
虎杖君のセリフやトーンから、私は告白されたのかと思いドキドキが止まらない。
『よっよく分かってんじゃん!
じゃあ、閉園までいっちょ暴れますか!』
『うん!!』
平常心を保つのに必死だった。
虎杖君のキス、熱い抱擁、そして告白と勘違いしてもおかしくない発言…
"今日虎杖君に掻き乱されまくってるよ私…"
隣を歩く虎杖君を横目に、
"もし虎杖君の彼女になったら…?"
なんて浮かれた事を考えてしまい、首をブンブンと横に振って邪念を振り払った。
『そっそういえば…今聞く事じゃないかもしれないけどさ。
色々あったけど…もう大丈夫なのか…?』
虎杖君が悲しそうな顔で聞く。
『ありがとう!!もう平気だよ!むしろ忘れてたぐらい!
本当みんなのおかげだよ・・・。なかった事には出来ないけど、気持ち次第だから…。
私の中ではもうなかったことなの。』
これは本心だ。
あの男に襲われた事は消えることのない事実…
ただ、それに囚われて生きていくのでは前に進めない。
だったら忘れよう、そう決意した。
忘れられた一番の理由は、支えてくれた1年のみんなや五条先生、そして傑さんのおかげ・・・
もう私は前を向いて歩けている。昔より強くなって…
『良かった。
ごめんな、思い出したくない事思い出させちゃったよな…』
『ううん、そんな事ないよ。
いつも気に掛けてくれてありがとう。
…虎杖君は最近宿儺出てこないの?』
『応!全く出て来てない!!
安心してくれ、もう吉本の前であいつ出す事はないから』
『べっ別にそういう事言いたかったわけじゃないんだよ?!
でも…出て来てないなら良かった。
自分の身体なのに、他の誰かが操るなんて…辛いもんね…』
『まあな?
ほら、暗い顔になってるぞ!今日は俺のために笑っててくれ?』
虎杖君は私の顔を覗き込み、優しい顔で微笑んでくれた。
『そうだよね!』
私はまた虎杖君の歩幅に合わせて歩き出す。