第7章 傾覆
早いもので、この遠征ももう帰路だ。
バスでは隣に釘崎さんが座った。
私の髪型について色々と指摘してくれている。
『眼鏡辞めたんなら、次は髪でしょ?
もう、ボブにしてみたらどう?似合うと思うけど?』
『そうだよね…』
確かに髪が長いので、暑くて仕方ない。
最近では煩わしさを感じていた。
『私今から予約してあげる!行きつけの美容院!
今日高専戻ったらどうせ授業ないだろうし、行こう!』
『え?!今日?!?!』
『早い方が何事もいいから・・・
はいっ、予約完了っと』
結局悩むことなく、髪を切ることが決定した。
そして、我々の乗ったバスは休憩のためサービスエリアで停車する。
私も息抜きに外に出て、飲み物を買いベンチに座って飲んでいた。
すると、虎杖君が私の隣に座ったかと思うと、何やらモジモジし始めた。
『あのさ…明後日の日曜日暇?』
『私?うん!暇だよ?どうかした?』
『前さ、遊園地行こうって話したじゃん?
ちょうどよ◯うりランドのチケットが手に入ったから、一緒にどうかなって思ってさ…』
『真希先輩たちがゲットしたチケット?!
虎杖君のになったんだ!
私で良ければ是非一緒に行きたい!!』
『応!さんきゅーな!』
虎杖君が以前誘ってくれたのは冗談だと思っていたので、かなり驚いた。
男の子と遊園地なんて何だか贅沢だな…なんて思いながら、ウキウキする気持ちが止まらなかった。
『夏油〜♪
おもしろい奴拾ってきたよ』
『真人、この方はどちら様かな?』
『俺がこいつの封印を解いてやったんだよ!』
『封印されてたのか?誰に?』
『…俺は昔高専で教師をやってた。
でも、守ってやった奴らに簡単に裏切られて、元嫁の呪符使いに封印された。
祓えばいいものを、封印なんかしやがって…』
"元嫁の呪符使い…?!まさか…!!"
『キミ、名前は何て言うのかな?』
『吉本だ』
"・・・!"
『キミの恨みを晴らせる奴を知ってるよ』
呪符使いと言えば泉智・・・
こいつを封じた女とは、きっと何か関係あるだろう。
この男を泉智に近付けたら、何かおもしろい事が起こるかもしれない。
そのまま泉智を仲間に引き込められれば…
『真人、本当におもしろいモノを拾ってきたね』