第7章 傾覆
『忙しい時にごめんなさい…』
泉智は申し訳なさそうな顔をして部屋に入ってくる。
『で?話って?』
『あの…さっきのこと…ごめんなさい。
恵君を怒らせるつもりは全くなかったの。』
『別に俺は怒ってない』
『…虎杖君に言われたの。
仲間をもっと頼れ、お前は仲間にとって必要不可欠なんだからって…』
・・・俺の話は聞こうとしなかったのに、虎杖の言う事は聞くのか?
『そうか。それは良かったな』
『それで五条先生も…』
俺は五条先生とキスをしていた泉智を思い出す。
…さっき風呂から一緒に出て来たことも…
もう我慢の限界だ。
『なんだよさっきから男のことばっかり!
うるせぇんだよ!!!
何のために来た?』
『ごめんなさい・・・
もし私が恵君の怒っている原因ならば、お詫びをしたくて…』
『お詫び?
じゃあ、こういうことしてくれるわけ?』
俺は咄嗟に泉智を布団へと押し倒し、泉智の上に跨っていた。
"ダメだ、理性が効かない"
『んっ…恵君…?
やっやだ…』
『やだ?そんないい声で啼いてるのに?』
『恵君怖い…やめて…』
"怖い?五条先生とならば平気でそういうことをするのに?"
『他の男ならいいのに、なんで俺は怖い?
誰でもいいんじゃないのか?』
・・・俺は腐ってる。
こんな事をしたいわけじゃない。
『ああんっ…んん…』
『もっと啼けよ。今までの男の時みたいにさ』
口を突いて出るのは泉智を傷付ける言葉ばかり…
浴衣を無理矢理開くと、ピンク色のブラと豊満な乳房が露わになる。
『ひゃあっ』
泉智は恥ずかしいのか、手で隠そうとしている。
『そんな事したって、無意味だって分かってんだろ?』
『やっやだぁ……』
こんな事して何も解決しない事は分かってる…
でも…
虎杖にも、狗巻先輩にも、五条先生にも…俺以上に懐くお前が大嫌いだ…
だから…力尽くでも振り向かせたいんだ…
泉智を見下げると、目を閉じていた。
"泣いてる…?"
泉智の頬を涙が伝っていた。
なぜだ?
なぜ五条先生は受け入れられるのに、俺はダメなんだ…
『出てけ!!!』
俺は立ち上がり、泉智を出て行かせた。
『なんで俺は…ダメなんだよ……』