第2章 運命
『泉智、産まれてきてくれてありがとう。
あなたがいるから、私も余生を楽しめてるよ。』
私の光だった。
大好きだった。
『おばあちゃん、あそこにお化けがいるの。怖いよ。。』
『大丈夫だよ泉智。おばあちゃんが追い払ってあげるからね?
おばあちゃんの手を握って、目を閉じていなさい。』
まだ私が幼い頃、妖怪なのかお化けなのか分からないモノを見ることがあった。
両親に頼れない私はいつもおばあちゃんに助けを求めていた。
おばあちゃんは私を深く愛し、守ってくれた。
そんなある日、おばあちゃんが私に紫色の布で纏われた小さな箱をくれた。
『肌身離さず持ち歩くように』と・・・。
そしてこう付け加えた。
『もしまた妖怪やお化けが見えるようになったら、この箱を開けなさい。
それまでは、絶対に開かないこと。約束ね。』
その箱を持ち歩くようになってから、妖怪やお化けを見ることはなくなった。
しかし、中学3年生の春、別れは突然やってきた。
おばあちゃんが死んだ。
私は生きる希望を失った。
光を失ったーー
追い討ちをかけるように、この頃からまた妖怪やお化けが見えるようになってしまった。
私ってどうしてこうなんだろう。