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【呪術廻戦】恋は呪へと散りぬるを《更新休止中》

第7章 傾覆




『私が一人犠牲になってみんなが助かるならば、私は喜んで犠牲になるよ。
私なんていたって、みんなの役には立てないだろうから…
誰かが生きるために、犠牲になるならそれが本望だよ。』


…本当は大好きなみんなと、ずっとずっと一緒にいたい。
私一人だけ犠牲になんてなりたくない。
でも…大好きな誰かが欠けてしまうくらいなら私が…



『お前・・・それ本心か?』
恵君が低いトーンで言う。

『…本心だよ。
私はみんなのために生きてい…』

『もういい。
お前とは話にならない』

あれ…?恵君怒ってる…?

『自分を大切に出来ない奴は、他人のことなんて大切に出来るわけがない。
お前も所詮そんな奴だったんだな。
残念だよ』

『おい伏黒!そんな言い方ねぇだろ!』
虎杖君が声を張って言う。


『虎杖君、大丈夫…
私が悪いの…
恵君、ごめんなさい。』

『お前とは話したくない』


そう言い残し、恵君は部屋から出て行ってしまった。
"まただ…。また怒らせてしまった……"



部屋にはコツコツと時計が時を刻む音だけが大きく鳴り響いていた。

『吉本…
伏黒の気持ち分かってやってくれ。俺も他のみんなも伏黒と同意見なんだ』

『ありがとう…。
でも分からないの。
人に頼るということが難しくて…頼ってもしもの事があったら、私また居場所がなくなってしまう…
私の居場所はここだけなの…』

『分かってるよ。
俺らは吉本にとって頼りないか?信頼できないか?
そうじゃないなら、頼ってくれ。信じてくれ。
みんなで助け合っていくための仲間だろ?
自分だけが犠牲になるなんて、ダメだ』


『虎杖君・・・』
涙が溢れてきた。
とても嬉しかった。人に必要とされることってこんなに素敵なんだ…。

泣いてしまった私を虎杖君がそっと抱き締めてくれた。

『大丈夫。
昔と今は違うだろ?
取り囲む環境だって変わってきてるんだから、吉本も変わらなきゃいけないだろ?』


『…うんっ…。』
涙が止まらない私を、虎杖君は抱き締めて背中をさすってくれた。
落ち着くまでずっと・・・



宿儺が受肉して、自分の未来もままならないのに、虎杖君はいつも私に優しくしてくれる。
この人の優しさを無下にしてはいけない。


私は変わらなきゃいけないんだ、そう思えた。


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