第7章 傾覆
私たちは、今日泊まる旅館に着いた。
エントランスにはドアマンもいるし、荷物も持ってもらえるし、なんだかおもてなしが凄い…。
部屋は男子女子で分けられていたけど、女子が一人余るということで私が一人部屋になった。
"露天風呂が付いてるからゆっくり出来るし、逆に一人で良かった…"
1級呪霊を祓い、その疲れがどっと出てしまっていた。
それに加えて恵君との気まずい空気は精神的にもきてしまう。
私はいつも恵君を怒らせてしまう…。嫌われたらどうしよう…
そんな事を考えていると、不安で仕方なくなった。
今は16:00…
まだ夕飯まで時間があったので、露天風呂に入ることにした。
露天風呂からは箱根の山々が見え、とても綺麗だった。
疲れた身体がどんどん癒されていくーー
少しウトウトしていると、ドアをノックされる。
『はーい!!ちょっと待ってくださいね!!!』
私は身体を拭き、浴衣をパパッと着て来訪客を迎え入れる。
そこにいたのは、恵君と虎杖君だった。
『どうしたの??』
少し意外な来訪客に驚いたが、とりあえず部屋へと入ってもらった。
3人でテーブルを囲んで座る。
『その…何でもないんだけどさ?
さっきの戦いで疲れただろうから労いに来たんだよ』
虎杖君がしどろもどろに言う。
『ありがとう…
確かにちょっと疲れちゃったから、露天風呂で少し休ませてもらってたの。
自然に囲まれて、かなり癒されたよ!』
『それなら良かった。
お前…あんまり無理はするなよ』
恵君が俯き加減に言う。
怒っているかと思っていたからとても嬉しく、自分の顔が綻んでしまうのがよく分かった。
『あのさ!
単刀直入に言うけどさ…吉本、もっと俺ら仲間のこと頼ってくれ!!!』
『・・・へ?』
突然の話に驚き、変な声が出てしまう。
『お前は人に頼らず、自分で解決しようとする癖があるだろ?
仲間が救えるなら自分が犠牲になってもいい、って。
それじゃダメなんだよ。
みんなで助け合わないといけない。一人の力は小さくても、みんなの力を合わせれば大きいものになる。
大きい力で敵に立ち向かう方が、何倍も何十倍も有利だろ?』
『うん…。
恵君の言う事はとっても正しい事だと思う…。
でも・・・』