第7章 傾覆
そうだ。泉智は仲間の為ならば自分を犠牲にする奴だ。
俺は何度かその場面を目撃してきた。
泉智からそれを感じる部分もたくさんある…
『俺たちは…どうすればいいんですか…』
虎杖は声を震わせて言う。
『強くなれ。
君たちが強くなれば、彼女が自己犠牲などしなくとも命を守れるだろう?』
『もし、じいさんが封印破ってあいつの前に現れたら…?
あいつを乗っ取る可能性だってあるよな?』
『真希、いい質問だね。
もし封印が破られた場合、おじいちゃんが泉智の前に現れる可能性は高い。
でもね、おじいちゃんは愛する人のために悪に転じた人だよ?泉智を痛み付けるような事をすると思う?
きっと迷いが生じるはず。その迷いの隙に、僕たちで祓えばいい。』
『でも、泉智がみんなを巻き込みたくなくて、一人で戦いに挑んだらどうするんですか』
『そこはもう泉智に委ねるしかないよ。
普段から、もしもの場合は必ず仲間を頼るように、本人に釘を刺すしかないんじゃないかな?
仲間を信頼してもらえるように、みんなで信頼関係を作っていくのも大事なことでしょ?』
あいつは人を頼るのが下手だ。
でも、それでは今後単独で判断し、暴走してしまうような事が起こってもおかしくない。
そういった事が起こらないように、普段から信頼関係を作るようにしろということか・・・
五条先生の言っている事は間違えていない。
『でも、もしそれができなかったら…』
『泉智が死ぬか、悪に転じるかのどちらかだよ』
俺たちは俯いたまま唇を噛んだ。
きっと、みんな同じ気持ちだったに違いない。
ーパンッ!ー
五条先生が手を鳴らす。
『まっ!そんな暗く考えないで!
みんなで彼女を正しい道に誘導してあげましょ〜!!
さて!終点ですよ〜!!!
次はみんなのお待ちかね、高級旅館ですよ〜』
重たい空気を変えようと、五条先生が明るいテンションで話す。
『よっしゃー!俺燃えて来たーー!』
虎杖は伸びをしながら言う。
『仲間は信頼してもらわなきゃね!』
釘崎も腕まくりしながら言う。
あいつを信用させるためにも、
あいつを守る為にも、
俺はもっともっと強くならないといけない。
・・・強くなると誓った。