• テキストサイズ

泡沫は海に還す【twst】

第4章 3. ヴィランのルージュ


各々の性格によって違いはあるものの、ハーツラビュルの先輩3人は大変身したシェラを素直に褒めることで、先輩としての余裕や貫禄を示した。
外見を褒めて欲しいわけではないが、口の利き方くらいは少し見習って欲しい。別人説を出したエースは特にだ。

「せっかくみんな揃ったんだからさ、記念に写真撮ろうよ!」
ケイトがスマホを片手にそう提案した。画面はもうカメラモードに切り替わっている。

この画角に7人を見切れることなく写そうとすると、かなり寄らなければならない。
シェラはグリムを抱き上げるとリドルの横に立った。
大雑把に前列、中列、後列で並ぶ。
スマホを持つケイトは最前列。このメンバーの中では背が小さいリドルとシェラは必然的に前に行くことになる。
後ろで、身長がほぼ変わらないエースとデュースがどちらが前に出るかで不毛な言い争いをしている。

「はいはい、エーデュースちゃん達も笑ってー!……はい、チーズ!」
ケイトの合図でシャッターが切られた。

「オッケー!早速マジカメにアップしよ!」
撮れた写真を見せてもらったが、エースもデュースも良い笑顔をしていた。特にエースに至っては手でハートを作っている。
直前の言い争いは単なる茶番だったのだろうか。
お揃いの黒い礼服、お揃いの黒いメイクで楽しそうに笑っていて、まさに〝青春の1ページ〟だった。

(なんだか……いいな、こういうの……)

シェラはなんだか胸がくすぐったくなって、こっそり表情を柔らかくした。


マジカメへの投稿が済んだのか、満足そうにケイトは頷くと、エースとデュースに何か耳打ちをした。
するとふたりは顔を赤らめたと思うと、ケイトに背中を押されてシェラの元へ寄ってきた。

「シェラ……その、パンダとか言って悪かった。に……似合ってると思うぞ」
ほんのり赤く染まる頬を掻きながらエースは言った。

「今日のシェラ、その、あの……か……、かわ……かわいい……と思う」
薔薇の花と同じくらい顔を真っ赤にしながらデュースも語尾をすぼませながら言った。

「……?えっと、ありがとう……?」
急に素直になったふたりに困惑したシェラは、つい語尾に疑問符をつけてしまった。
一体ケイトはふたりに何を吹き込んだのだろう。
/ 336ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp