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泡沫は海に還す【twst】

第3章 2. 青空の涙


◇ ◇ ◇

「リーチ!リンジー!!勝手な行動をするな!!」
耳を劈くようなけたたましい笛の音にシェラは顔を顰めた。
眼前には、腰に手を当てて怒り心頭のバルガス。
筋骨隆々でガタイの良いバルガスが怒る姿は、縦に大きいフロイドとはまた違った方向で圧がある。

「す、すみません……」
やはりこうなった。
集合時間にいなかったことで、フロイドとシェラが授業を抜け出していたことがバルガスに明るみになってしまった。
遅れて飛行場に着地した時に、エース達から同情の眼差しを向けられた。

ピピーッと再び笛が鳴らされる。思わずシェラは耳を塞ぎそうになった。
授業を勝手に抜け出したことに関しては、全面的にシェラ達に非があることは認める。叱られるのは仕方のないことだ。
だが、注意の度に笛を鳴らすのは煩いからやめて欲しい。

「せんせぇなんでそんなに怒るわけ?オレも小エビちゃんもちゃんと戻ってきたんだからそれでいーじゃん」
全く反省の色が見られないフロイドは、ゆらゆらと身体を揺らしながらバルガスを見下ろして文句を言っている。
ここは素直に謝っておけば場が収まるのに、とシェラは思うのだが、フロイドの性格を考えるとその思考は期待するだけ無駄だろう。

「そういう問題じゃない!何故お前はそんなに集団行動が出来ないんだ!?」
「えー?だって人に合わせんのとかだるいし?」
「どうしてお前はそんなに協調性が無いんだ!!」
フロイドの発言は火に油を注ぐようなものばかりで、シェラは頭が痛くなる。
バルガスで無くても少しは反省しろと思ってしまう。

「リンジー!」
フロイドと話してても埒が明かないと判断したバルガスの説教の矛先がシェラに向いた。

「お前も何故リーチと一緒に授業を抜け出した?」
「それは……」

シェラが状況を説明しようとした所へ、フロイドが口を挟む。
「せっかく2人乗りの授業なのに何で小エビちゃんだけ罰ゲー……痛っ!?」

バルガスの特別メニューを〝罰ゲーム〟と言おうとしたフロイドの口を、平手打ちでもするかのような勢いで押え、それを阻止する。

この状況でのフロイドの罰ゲーム発言は火に油どころではない、火にガソリンを投下するようなものだ。
バルガスの怒りが大爆発するのが目に見えている。被害は最小限に抑えたい。
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