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泡沫は海に還す【twst】

第13章 9. 夜半の求愛 ※


◇ ◇ ◇

「オレさぁー」
「はい」
行為が終わって一休みしていると、シェラを腕に抱きながらフロイドはあっけらかんと話し始めた。

「初めて身長縮めって思った」
「それは、まっすぐの状態だとベッドから足が出るからですか?」
今一緒に寝ているシェラの部屋のベッドは、一般的なシングルベッド。
191センチのフロイドが寝ると、身体が収まりきらず足が寒そうだった。
オクタヴィネル寮のフロイドの部屋に置いてあるベッドは、双子の身体のサイズに合わせているのか、これよりも広くて大きい。

しかしシェラの返しは、フロイドが考えていたこととはかけ離れていたようで、フロイドはむっと頬を膨らませる。

「ちげーし!交尾してる時小エビちゃんにちゅー出来なかったもん」
「ああ、それは……あの体勢では少し難しかったですね」
ぷんぷんしているフロイドの顔にかかる髪をそっと撫でて払う。

フロイドが不満をもらすように、シェラに覆い被さるようなかたちで繋がると、身長差がありすぎて顔の位置が合わずにキスがお預けになる。
フロイドにとっては、それが残念でならないらしい。
かぷ、とシェラの指をやわく咬みながらフロイドは物欲しそうな目でシェラを見つめている。
甘咬みとはいえ鋭い歯をしたフロイドにそれをされると痛い。
『痛いです』と、やめるよう言うとフロイドは名残惜しげに口を指から離した。

「オレが縮むか小エビちゃんがおっきくなるかだよねぇ」
「フロイド先輩が縮むのは非現実的過ぎるんで、私が大きくなることに賭けましょう」
「175センチくらいまで伸びてくれれば、ちゅーしやすそうだなぁ」
「今から約20センチは厳しいと思います……」
なかなか無理難題を言ってくれる。
フロイドは至極真面目な顔でシェラの身長が175センチまで伸びることを期待しているが、さすがに高校生になった女子の身長が今から20センチも伸びる可能性はほぼ0に近い。
遅れてやって来た成長期があることに期待をするとしても、伸びてあと10センチが限界だろう。

「オレの血を素材にして身長伸ばす魔法薬作ればいけんじゃね?」
「なんてこと言うんですか。生き血を使った魔法薬生成は禁忌ですよ」
「あは、ジョーダンだってぇ」
こんな時でも真面目なシェラにフロイドは、ふはっ、と吹き出す。
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