第13章 9. 夜半の求愛 ※
恥ずかしさに肩を震わせながら、シェラは胸元を隠しながら肩越しにフロイドを見る。
「がっかりされたくないので、初めに言っておきますね」
「?」
シェラは必死に予防線を張る。
シェラがなにをそんなに必死になっているのかさっぱりな様子のフロイドはきょとんとしている。
シェラは羞恥に顔を赤く染めながら、ずっとずっと気にしていたことをフロイドに打ち明けた。
「その……あの、私、本当に……、胸が貧相で身体もひょろひょろで……、その、お世辞でも色気のある身体とは言えません……」
シェラが羞恥心を振り切ってそう言う。
ずっと気にしていた。痩せぎすで胸のふくらみがささやか過ぎることを。
この学校で男子生徒と一緒に過ごすには適した体型であるが、いざ肌を重ねるとなるとフロイドに稚魚みたいと言われるのでないかと気が気でない。
ぎゅっと瞑っていた目をそっと開けると、フロイドはぽかんとした。
「なぁんだ!そんなこと気にしてたの?オレそんなん気にしないのに、かわいーね!小エビちゃん」
フロイドにとっては取るに足らないようだった。
シェラの悩みを軽く笑いとばすと、いいこいいこと頭を撫でた。
「そんなことって……、これでも私は本気で……」
こちとら本気で色気の無い身体つきのことを気にしているというのに、とシェラは軽くフロイドを睨めつける。
気にしないと言ってくれたのはよかったが、軽く笑い飛ばされたことは些か納得いかない。
「あは、ごめんごめん。……ね、見せて?」
フロイドは怒るシェラの頭を撫でながら宥めると、甘い蜂蜜のような声で語りかけた。
シェラは谷間の出来ない胸元を両手で隠したまま、ゆっくりとフロイドの方へ向き直る。
フロイドの顔が近づいてくる。そっと目を閉じるとふわりと唇が重なった。
柔らかく形を変える唇を感じていると、フロイドに両手を絡め取られ、そのままシーツへ沈められる。
唇が離れる。フロイドのオッドアイを名残惜しけに見つめていると、もう一度ちゅっとキスをくれた。
ささやかなふたつの膨らみと初心な蕾のようなピンク色の先端が、フロイドの前に晒される。
胸元にフロイドの視線を感じる。
恥ずかしさのあまり、シェラはフロイドの顔を見ることが出来ない。