第13章 9. 夜半の求愛 ※
「…………っ!」
ぎゅっと目を瞑る。
いっそひと思いに勢いよく脱いでしまおうと思ったが、手が言うことを聞かない。
どうしても羞恥心に勝てずにそうすることが出来ない。
シェラは振り返ると、ボソッと呟くようにお願いした。
「……やっぱり自分で脱ぐのは恥ずかしすぎるんで、フロイド先輩が脱がせてください……」
きっといつまで経ってもこのままだ。
ならば最初からフロイドに任せようとシェラは考えた。
「あは、オレに脱がす楽しみくれんの?いいよぉ。任せて」
フロイドは嬉しそうに瞳を爛々と輝かせる。
しかしそんな情欲溢れる表情とは裏腹に、背を向けるシェラを後ろから優しくぎゅっと抱きしめた。
シェラの耳元で、フロイドの耳飾りが小さく音を立てる。
「恥ずかしがってんの、かわいーね」
まるで内緒話をするかのようにこそっとシェラの耳元で囁くと、フロイドの手がシェラの肩に伸びる。
それは、拍子抜けするほど一瞬で。
上に着ていたカーディガンもろともするりとネグリジェがシェラの腕を滑る。
そのままフロイドは脱がせたネグリジェを脇によける。
シェラの身体を覆うのはブラジャーとショーツのみになった。
シェラの見ていないところで、フロイドの喉が上下する。
「肌、白いね」
あらわになったシェラの肩と背中へ、フロイドはそっとキスを落とす。
「っ……」
羽毛が触れるかのようなキスに、シェラのしなやかな背中がぴくりと震える。
肩や背中だけでは物足りないフロイドは、シェラの肩甲骨のくぼみをゆっくりと舐め上げる。
「う……」
小さく声を洩らしたシェラの腰が揺れる。
背中にフロイドの素肌を感じた。
「小エビちゃん、好きだよ……だいすき」
シェラを後ろから抱きながら、フロイドは露なシェラの首筋とうなじに唇を落とす。
「っ……。ぁ……」
時折やわく歯を立てられると、ちくりとした甘美な痛みがそこから全身に広がってシェラの情欲を煽り立てた。
フロイドは両手で丁寧にシェラのブラジャーのホックを外した。
するん、とブラジャーがシーツの上に落ちる。
胸元の開放感に、シェラの羞恥心が限界を迎えそうになる。