第13章 9. 夜半の求愛 ※
「きれーだね……」
ほう……と惚けたようにシェラの身体を見てフロイドが呟いた。
足の先からゆっくりと舐めるようにシェラの肌を目に焼き付けたフロイドは、ぎゅっとシェラを抱きしめる。
フロイドの素肌のぬくもりを感じた。人魚だから、体温は少し低めか。
肌を火照らせたシェラにとって、フロイドの温度は心地よかった。
再び唇を重ねられる。
フロイドはスキンシップも愛情表現も激しい。
好きだという気持ちをストレートに表現してくれる。
咬みつくようなキスではなく、唇と唇が溶けてくっついてしまうような、うっとりとするような濃いキスはシェラの情欲をゆっくりと高めていった。
「あなたはもっとふっくらとしてる女性の方が好きなんじゃないんですか……」
鼻先がぶつかりそうな距離でフロイドの頬に流れる髪を払いながら、シェラは拗ねたように呟いた。
以前フロイドが海の魔女のことを可愛いと言っていたことをシェラは知っている。
その時からシェラは、フロイドの好みは豊満な女性だと認識していた。
メインストリートに鎮座するグレートセブンの海の魔女の石像を見る度に自分とは正反対だと痛感し、なんとなく侘しい気持ちになったことが記憶に新しい。
「んー、確かにそっちのが食べでがありそーだけど、別に小エビちゃんのこと食べたりはしないからなぁ」
好きを違う意味で解釈しているフロイド。
愛おしげにシェラに頬擦りしながら、ちゅ、と可愛らしいキスをくれた。
「ね、身体、触っていい……?」
「……はい」
まるで許しを乞うような訊き方に、シェラはこくりと頷いた。肌の感触を確かめるようにフロイドの手がするりとシェラの腹を撫で、小さな胸にそっと触れた。
シェラの膨らみはフロイドの手にすっぽりと収まってしまう。
「ふふっ、かわいいおっぱいだねぇ」
「ん……、……」
時折唇を落とされながら、愛でるようにやわく胸を愛撫される。
脂肪が少ない分、フロイドの手の動きが直に伝わる。
くすぐったいような、それでいて身体の奥深くに眠るなにかをそっと呼び起こされるような、そんな不思議な感覚に襲われる。
「ピンクのパールがついてるみたいだね。かわいい」
フロイドが指先でちょん、と乳首を軽く触れると、シェラの肩が揺れる。