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泡沫は海に還す【twst】

第13章 9. 夜半の求愛 ※


「……はい」
フロイドから目を逸らしながらシェラはごく小さい声で呟く。
着替え中に鉢合わせをしたことはあるが、それと〝これ〟とは話が別だった。

「そっか、……じゃあ、小エビちゃんが恥ずかしいんならオレが先に脱ぐね!」
シェラの恥じらいに理解を示したと思ったら、さも名案だと言わんばかりにフロイドはニコッと笑って明るく言った。

「……はい?」
なぜそうなる。
シェラはフロイドに視線を戻し、眉を寄せる。
フロイドはそんなシェラを全く意に介した様子もなく、カマーバンドとサスペンダーを外した。
首にかけられているだけのボウタイを、しゅるりと取り去る。
金具を外す音と僅かな衣擦れ音がシェラの耳に官能的に響く。

「ほら……、ちゃんと見てて?」

シェラに馬乗りになりながら上体を起こしたフロイドは、シャツのボタンに手をかける。
ひとつ、またひとつ、時間を惜しむことなくシェラに見せるようにボタンを外してゆく。
その度にフロイドの白い肌がパープルのシャツの隙間から覗き、シェラの緊張が高まってゆく。
すべて外しきると、ゆっくりとフロイドはシャツを脱いだ。

薄闇の中に浮かぶフロイドの身体は、驚くほど引き締まっていた。
逞しい肩と厚みのある胸。そこからくびれるように続く腹部には、彫刻のように美しい筋肉がついていて、下腹部に向かって深い溝を作っていた。

「驚きました。……腹筋、割れてたんですね」
あまりに美しいフロイドの上半身に釘付けになりながらシェラは言った。
腹部からゆっくり視線を上に持っていくと、色素の薄い胸の先端が目に入り、急にシェラはいけないことをしている気分になった。

「いつもそうだけど、小エビちゃん、オレのことナメてんの?」
怒ったような仕草を添えて、ムッとした表情でフロイドは言うと、スラックスへ手を伸ばした。

「そっちは後にしてください……」
ホックを外そうとしたフロイドを、シェラは制止する。

「そ?じゃあ、今度は小エビちゃんの番だね?」
「……わかりました」
あまり渋りすぎても互いの興が冷めてしまう。
シェラはゆっくりと身体を起こすと、フロイドに背を向け座る。

深呼吸をしてネグリジェに手をかける。
これをおろせば、フロイドに素肌を晒すことになる。
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