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泡沫は海に還す【twst】

第8章 6-2. 咬魚の束縛 後編


「それに、ジェイドもアズールも、小エビちゃんがケガしてここにいるの知ってるよぉ。小エビちゃんにディスクぶつけた小魚ちゃんが、小エビちゃんの代わりにシフト入るって言ってきたから大丈夫ー」
「そうなんですか?彼にはお礼を言わないといけませんね」
「後々バレた方が、アズールとジェイドに怒られるし、オレに絞められるって思ったからそうしたんじゃね?」
「……」
確かにフロイドの言う通りかもしれない。
横目で見たエースとデュースも、納得したように頷いていた。

彼はクラスメイトの中でもシェラに対して友好的に接してくれているが、それはシェラが寮長のアズールと副寮長のジェイド、そしてフロイドと特別接点が多いからだった。
シェラとの仲が険悪だと後々不利益を被るのは自分だと考えたのだろう。
やはり彼もオクタヴィネル寮所属なだけあって、寮長に似て計算高くリスクヘッジが上手い。別の言い方をすれば小賢しい。

「じゃあ、小エビちゃん帰ろっかぁ。あーでも、小エビちゃんは安静にしてなきゃだから歩いちゃダメねー」
「え?じゃあどうやって帰れと」
歩いちゃダメ、ならばどうやって帰れというのか。
空間転移魔法でも使ってくれるのか、などとシェラが考え始めたところへ、フロイドが満面の笑みでわけの分からない提案をしてきた。

「四択で選ばせてあげる。いちー、脇に担がれる。にー、肩に担がれる、さーん、おんぶ。よーん、お姫様抱っこ。どれがいーい?」

めちゃくちゃだ。まともな選択肢がひとつも無い。
楽しそうに指で数字を見せながら提案するフロイドとは対照的に、シェラの頬が引き攣る。

「……、5、自分でゆっくり歩いて帰る、じゃダメですか?」
「だから四択だっつってんじゃん」

シェラが新たな選択肢を加えて五択にしようとすると、フロイドの機嫌が少し傾いた。
余計なことをいうと、本当に〝強制終了〟させられそうだ。
しかしどれも想像するだけで恥ずかしい。特に1と2は論外だ。それこそ、これから捕食される獲物にしか見えない。そうなると実質二択だ。
シェラが頭を悩ませていると、話を聞いていたエースが新たな選択肢を追加してきた。

「6、俺とデュースでシェラを運ぶってのはどう?あーでもいくらシェラが軽そうでもオンボロ寮遠いし交代でおんぶってのはキツいなー」
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