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泡沫は海に還す【twst】

第6章 5. 人魚の純情


「あの、氷を入れたミルクをいただけますか?」
「ええ。……フロイド」
「はぁい」
勝手に抹茶を試飲したフロイドに、アイスミルクを用意するようアズールが命じる。
フロイドはそれに素直に従うと、再び厨房へ向かう。

「小エビちゃーん。ミルク持ってきたよぉ」
「ありがとうございます」
フロイドはシェラにアイスミルクを渡すと、そのまま右腕をシェラの肩にまわした。

「フロイド先輩、ちょっと近いです」
「いーから早く見せてぇ」
フロイドはシェラの苦言に対しまったく意に介した様子もなく、好奇心に満ちた表情で早く作れと急かす。
まあいいや、と思いながらシェラはグラスに注がれたアイスミルクの上にゆっくりと点てたばかりの抹茶をそそぐ。

白いミルクに濃い緑の抹茶がゆっくりと溶け、グラスの中でまろやかなマーブルを描いていった。

「ミルクに加えれば、抹茶ラテが出来上がります」
出来上がったアイス抹茶ラテをアズールに渡す。
シェラとしては、綺麗な2層に分かれたラテが出来上がると期待していたのだが、なかなか上手くいかない。

「ほう。マットなグリーンのドリンク……たしかに珍しいですね」
そう言いながらアズールはシェラが作ったアイス抹茶ラテをひとくち飲むと、感嘆の声を上げた。

「美味しいですね……」
「ミルクとグリーンティーがこんなに合うとは」
「なにこれ、苦いのに甘い!」
アズールに続き、ジェイドとフロイドもひとくちずつ飲んで、口々に感想を言い合う。
反応は概ね好感触。どうやら口に合ったようだ。

「みなさん器用そうですし、ミルクを泡立てる機械があれば、流行りのマジカメ映えなラテアートとかも出来そうですね」
「エスプレッソマシンのことですか?もちろんありますよ」
何気なくシェラがアイディアを出すと、アズールが反応した。

「今小エビちゃんが作った抹茶を使って、カフェラテと同じ感じで作ればいーのぉ?」
「はい、多分」
「オレに任せて」
そうフロイドは上機嫌で自信たっぷりに言うと、先程シェラが見せた抹茶の点て方を1回で見て覚えたのか、それを完璧にやって見せた。
きめ細かな泡が立つ抹茶が出来上がると、フロイドはカップに移した。
そして今度はそれを持ってカウンターの中に入り、エスプレッソマシンのスチーマーを起動させる。
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