第6章 オシロイバナ *不破雷蔵*
部屋に戻って寝転がりながら考えてみた。
僕が彼女に抱いていたのは・・・本当に恋だったのかな
もしかしたら、僕は恋じゃなくて・・・
「ただ単に、みんなみたいに彼女と仲良くしたかっただけなのかな…」
「何独り言言ってるんだ、雷蔵」
「ん…、三郎」
「八左ヱ門が心配してたぞ。何かあったのかって」
「ん~…そうだな」
「また何か迷ってるのか?」
寝転がっている僕の横に座る三郎は、また何でもお見通しのようだった。僕は、ふぅ…と息を吐いて・・・被っていた頭巾で顔を覆った。
「三郎…。僕は…どうしてこうも迷ってしまうんだろうね」
「・・・。」
「好きになったのに、それを勘違いだって思おうとしたり…友達のためだって、諦めようとしたり…。…兵助や八左ヱ門が羨ましいよ…」
少し嗚咽が混じる中、三郎もまたふぅ…とため息をついた。
「雷蔵、それは迷いじゃない。臆病って言うんだ」
「…臆病?」
「いろんなことが怖いんだろ?彼女の事が好きでいると、兵助に悪いんじゃないか…とか、いざ好きになっても彼女自身も兵助か、はたまたそれ以外の誰かが好きなのではないのか…。それに彼女の事を思っている八左ヱ門にも悪いかも…ってね」
三郎にそう言われれば、確かに・・・そうかもしれないと思った。和歌菜・・・兵助・・・八左ヱ門・・・いろんな人の事を考えちゃって、僕が何かしようとするとひょっとしたら今の関係が壊れてしまうかもしれない…そう思うと、確かに怖くなる。
「…もう、好きでいるのやめるよ」
「…どうしてだよ」
「こんな気持ちになるなら…。」
僕は、どうやら迷い癖がある上に臆病者だったようだ。