第6章 オシロイバナ *不破雷蔵*
「可愛いもんな、和歌菜って。」
「…うん。なぁ八左ヱ門。…告白とか、しないのか?」
「…できないさ。雷蔵も分かってるだろ?兵助が、あんなに彼女の事を好きなのに。せっかくいい方向に転んだんだ、幸せになってもらいたいだろ」
「うん…、そう、だな…。」
僕達は、他学年から見ても仲がいいと言われている。
それは5年生みんなが優しくて、互いに思いあっているから。
彼女の事も、兵助が彼女に一目惚れしてからいろいろあったことを知っているから、みんな遠慮している。
「…雷蔵はどう思ってんだ?」
「えっ…僕は…」
「好きなんだろ?和歌菜の事」
八左ヱ門にそう言われたけど、僕は正直分からなくなっていた。好きになっても実らなきゃ意味がないし…でも、自分を偽るのも…でも、八左ヱ門もみんな兵助を思って自分の気持ちをおさえているし…でも…
「…分かんない。」
「ん?」
「分からなくなっちゃった…。アハハ…」
「雷蔵…」
「…じゃ、僕部屋に戻るから。委員会頑張れよ」
「あ、おい!!」
僕は、そう言って自分の部屋に戻っていく。