第6章 オシロイバナ *不破雷蔵*
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『雷蔵さん、すみませんが…』
「あ、また分からないところがあるのかい?」
『はい、すみません…』
「いいよ。」
あれから、僕は彼女に対しては普通に接するようになった。
いつの間にか、僕と彼女が付き合ってるなんて噂はなくなって・・・代わりに、彼女は兵助と付き合っていると、話題になった。
実際あれから兵助は彼女とより親しくなって、先日やっと恋仲になったと報告された。
その時、八左ヱ門は笑っていた。
「おめでとう!」と言っていたけど、絶対にショックなのは分かっていた。僕は、そんな八左ヱ門を見て本当にすごいと思った。僕はあんなに強くはなれないと思うから・・・
「雷蔵。」
「…三郎」
彼女に勉強を教えた日は決まって三郎が何か持ってくる。
僕が凹んでいると三郎には分かるようで、今日も少し高い饅頭を持ってきた。
「…雷蔵」
「なんだい?」
「…今度、勘右衛門や八左ヱ門と兵助たちのデートを尾行するんだけど、一緒に行くか?」
と、いたずらっぽく笑う三郎
その、僕と同じだけど少し違う顔に・・・自然と笑顔になる。
「…そうだな。幸せそうな2人を、からかいに行こう!」
そう言って、今日も臆病は僕は
彼女の事を・・・考えないようにするのだった。
*END*