• テキストサイズ

陰陽の結び 《忍たま乱太郎》

第9章 オミナエシ *竹谷八左ヱ門*




***


「で?思い出話を語ってどうするんだ?」

「…どうするって言われてもなぁ…」


と、俺と話しているのは5年い組の勘右衛門だ。
今日は休校日で授業がないから勘右衛門と2人で町に出てきたのだ。そこでとある団子屋で休憩をしながら、彼女の事を話していた。


「彼女が女だって分かって兵助だけじゃなくて他の同級生や上級生達も彼女を狙い始めている。そんな状況で今更俺達に入り込む好きなんてないだろ」

「…でもなぁ。勘右衛門だって本当はもっと彼女と親しくなりたいだろ?」

「親しいどころか、恋仲になりたいって思うぜ俺は」


意外とはっきりという勘右衛門に、俺は何も言わずに団子を齧る。最近女らしさが出始めている彼女に、好意を抱くのは当然だろう。人によっては男装の時でも好意を抱くのだから。


「…あ、和歌菜。」

「えっ…」


休憩していた団子屋の前を彼女が通りかかった。
一緒にいるのは、4年生の綾部と平だった。


「よぉ、お前達!」


勘右衛門は普通に彼らに話しかけに行っていた。
彼女達も勘右衛門と俺に気が付いたようで「こんにちは。」とあいさつをしてきた。

でも俺が気になったのは、彼女の事だった。
彼女はいつもの忍装束とは一変、美しい着物に簪と町娘というよりは育ちの良いお嬢さんの装いでいたのだから。


「今日は買い物か?」

「はい、私は千輪を研ぐための道具の新調に…」

「僕は新しい踏み鋤を買いに…」

『あたしは付き添いです。』


3人が言うと、頭を下げて早々に出かけて行った。
俺達はその後姿を見ていたが、なんとも3人が揃うとアイドル学年の名を彷彿とさせる見栄えだった。ただでさえ美しい彼女に、男として容姿は悪くない平と綾部が並んでいるのだから町の者達も彼らに視線を移していた


「よく目立つな、あいつら…」

「…でも、目立ちすぎるのもよくないよな」


と、俺達はすぐに気が付いた。
3人をなにやら不穏な目つきで見ている者達がいることを・・・


その視線に、平と綾部は気が付いたようで彼女を手を引いて早歩きで道を進み始めた。不穏な者達はその後を急ぎ足で追って行ったため、俺達もそれに続くように後を追った。


/ 150ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp