第6章 オシロイバナ *不破雷蔵*
「ねぇ雷蔵、和歌菜とはどういう関係なの?」
「えっ…どうって、ただ勉強を教えてるだけだってば。」
「そうなんだ。その割に後輩達は不破先輩が和歌菜先輩と付き合ってるなんて言ってるみたいだけど?」
兵助のお膝元である焔硝蔵に呼び出された僕は、本心で兵助の質問に答えたが、あの兵助が珍しく怒っている。
そりゃ、今までは彼女の事を好きなんて・・・って弄っていたくせに今更彼女と親しくするのは面白くないのだろうけど・・・
「雷蔵、もし和歌菜の事好きだったら…」
「なっ!?ないよ~そんな、こと…」
「…迷ってるな。」
「いっ…いや、違う…」
「そうやってどもる時のお前は大抵迷ってるときなんだよ!どうなんだよ!!雷蔵!!!」
兵助が僕の制服を掴んで焔硝蔵の壁に追い遣られた。背中に焔硝蔵の冷たい壁を感じ制服の襟の部分を掴まれて首が少しだけ閉まる感覚が襲ってきた。
普段は豆腐以外の事で怒ったりしない兵助をこんなにも怒らせてしまって・・・俺は、自分の気持ちが分からなくなった。
「何してんだよ。」
「…三郎」
「…何があったか知らないけどさ、兵助。タカ丸さんが呼んでた。今日委員会だろ?」
「…あぁ」
焔硝蔵にやってきた三郎。
すぐに三郎は蔵の中の雰囲気を感じ取ったのか、兵助に声をかけた。
すぐさま兵助は僕から手を離して焔硝蔵を出て行った。
兵助の手から解放された俺はすぐに咳き込んで息を整えた。そして焔硝蔵の入り口付近で僕を見ている三郎を見た。