第6章 オシロイバナ *不破雷蔵*
「応用書なんて開いて、何調べてたんだ?」
僕は思わず彼女の隣に座って、本を覗き見る。
見ると、寝ていたとはいえ帳面には忍術の基礎とそこから応用した忍術が細かく書かれていた。
『昨日の授業で習ったことなんですけど、どうしてもまだ基礎を応用した忍術が扱えなくて…技や技術が単調になっちゃって失敗しちゃったんです。だから、こうやって調べてたんですけど…』
という彼女は、なぜか帳面を手に持ち顔を隠した。
「どうした?」と尋ねると、彼女は『ぅう~…』と低く唸り始めた。
「何?」
『あたし…やっぱり本とか参考書が苦手みたいで…少しページをめくって字を見ていると、こう…スヤァ~…って眠くなるですよね…』
「あぁ~…いるよな、そう言うやつ…」
『だから、教科の成績はいつも最低ラインぎりぎり何ですよね…。実技の成績なら滝夜叉丸にも負けないのに…』
なんて、口を尖らせながらブーと文句を言う彼女に
僕は何を思ったか急に口を滑らせた。
「…分からないことがあったら、僕が教えてあげようか?」
『へ?』
「えっ…あ、いや、本を読むのが苦手なら、誰かに教えてもらった方がいいと思って、いや、でも…僕に教わることないか…!いや、でも…」
と、自分で言ったはいいものの、そこまで親しくないのにいきなりそんなことを言って変に思われたんじゃないか…⁉僕に言われたって嬉しくないんじゃないか!?・・・と、脳内でいろいろ迷い始めていた時・・・