第6章 オシロイバナ *不破雷蔵*
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でもそんなある時、僕と彼女の関係が少し変わる出来事が起こった。
それは、僕が図書委員の仕事をしに図書室に来た時だ。
あまりにも図書室が静かだったから誰もいないものだと思い戸を開けたら、彼女が本や教科書帳面を開いたまま眠っていた。
「うぉ!?びっくりした…。若月、ここで寝るな」
と、彼女の肩を揺すっても彼女は一向に起きなかった。
・・・そういえば昨日、4年い組は夜間授業の日だって噂を耳にしたな、それなら・・・と僕は彼女を起こさずに、図書委員の仕事に入った。今日は中在家先輩も、実習中でいらっしゃらないし・・・と思い薄手の毛布もかけて寝かせてやった。
ふと、チラッと見えた彼女の開いている本は忍術の応用書だった。
ここに来る前にタソガレドキ忍軍に忍術を学んでいたとは聞いていたが、やはりまだ暗殺者の考えが抜けてないのかなと思ったのと同時に、少し彼女の事を見なおした。
「…頑張ってるんだな」
と、思わず彼女の頭を撫でてしまった。
そこで彼女はようやく『ん…んん』と、軽く伸びをして起きた。眠気眼で周りをキョロキョロして、上を見た。
「よ、おはよう」
『あれ…不破、さ…?あッ!?あたし、図書室で寝ちゃってました!?』
「あぁ~いいよ。今は俺しかいないし、今日は中在家先輩は実習中で帰ってこないし」
『えっ…はぁ、よかった…。前に図書室で寝ちゃったとき長治さんにこっぴどく怒られちゃったんですよ。』
と、腕を伸ばしながら言う彼女だったが、すぐに僕の顔を見てちょっと困り顔をした。
『えっと…長治さんには、ナイショにしてくださいね?』
「…分かったよ、もう寝るなよ!」
『はい!ありがとうございます。』
と、彼女はまたいい笑顔でニコッと笑った。
やっぱり笑顔は可愛いな~・・・と、感心していたら彼女はまた応用書を開き始めた。