第5章 アサガオ *齋藤タカ丸*
「タカ丸さん?」
「へ?」
「どうしたんですか?」
久々知君の声でようやく正気に戻った俺は、伸ばしてしまっている手のやり場に困って思わず辺りをキョロキョロした。すると、久々知君の頭の上にある火薬壺が少し手前に出ているのが見えた。
「うん、そこの壺が落ちそうだったから」
と、より手を伸ばして壺を置くまで押した。
久々知君もそれに気づいてなかったようで、すみません!と俺にお礼を言ってきた。
「いや、今なんだか殺気のようなものを感じてしまって、ありがとうございます。」
「えぇ~そうなの?まぁ壺が落ちてこなくてよかったね」
俺はそう言って笑ったが、少しだけ困惑していた。
久々知君に何をしようとしたんだ・・・もう少しうまくやれれば・・・!
なんて、そんな感情を久々知君に抱いてしまっている自分が情けなくて、恐ろしいと思ってしまった。
「久々知君…」
「はい?」
「…告白、上手くいくといいね」
「…はい!」
と、久々知君はすごくいい笑顔で答えてくれた。
そんなこと、ちっとも思ってないのに・・・
俺って、こんなに性格悪かったっけ・・・