第5章 アサガオ *齋藤タカ丸*
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次の日・・・
火薬委員の仕事があるせいで嫌でも久々知君と顔を合わせることになってしまった。
「タカ丸さん?」
「ん?何?」
「いえ、なんだか元気がないように見えて」
「…そんなことないよ」
いつもと変わらない優しい久々知君だった。
下級生にも優しくて、でも豆腐の事を話し始めちゃうと止まらなくて・・・
「おし、じゃあ伊助、三郎次、石人。あとは俺達がやるから戻っていいぞ」
「「「はーい!!」」」
と、下級生達を返して俺と久々知君の2人になった。
俺は、少し気になって久々知君に聞いてみた
「ねぇ、久々知君。和歌菜に告白するって聞いたけど本当?」
「えっ!?なんで…あ!八左ヱ門ですね?!あいつ~!!」
「ふふ、それだけ好きなんだね和歌菜の事」
「…はい。恥ずかしいんですけど一目惚れなんです。早く…思いを伝えたくて…」
そう言って顔を真っ赤にしながら、久々知君は顔を背けてしまった。
あぁ…嫌だ、嫌だ・・・
今までの奴と違って、久々知君は本気だ。
本気で彼女の事が好きなんだと分かった。
だから、余計に嫌だった
・・・本当に和歌菜を取られてしまいそうで
その瞬間、俺の身体がゆっくりと久々知君に近づいた
俺の手が・・・俺に背を向けて火薬の在庫を調べている久々知君の方に伸びていた。
このまま、うしろから・・・
首をしめてしまえば・・・