第5章 アサガオ *齋藤タカ丸*
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『…戻りました。』
「…ッ!?和歌菜ちゃん!?どうしたのその顔…!」
また別の日・・・
今日は名前のない同級生に呼ばれたと言って午後の授業の後に1人でどこかへ行ってしまっていた。
そんな彼女が戻ってきたのは、夕食の前だった。
彼女の綺麗な顔には大きめの布ガーゼが張られていて口元は青くなっていた。
『…今日告白してきたろ組の奴にやられちゃった…。俺のものにならないなら…って言って。まぁ、持ってた鉄扇で殴ろうとしたら逃げてったけど…。』
と言って笑っていたけど、女の子の顔に傷つけるなんて・・・!!
と、思わずムカついたけど・・・それをグッとこらえた。そして彼女の怪我をしている頬を優しくなでた。
「和歌菜、もしまた何かあったら言ってね。俺はいつでも和歌菜の味方だから」
『…ありがとうございます。』
彼女はそう言って、笑った
でもいつもの笑顔じゃなんちょっと作り笑いの混じった笑顔だった。
彼女にこんな顔をさせたヤツ…許さない…
・・・と、自分の中にそんな感情が芽生えてきてしまったが、俺はすぐに正気に戻って彼女を部屋の中へ入れた。
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その後、彼女に告白したろ組の生徒が学園を去ったと聞いた。
なんでも4年生の合同実技授業の時に大怪我をしたらしい。彼は知らない間に身体の数か所を刃物で切られて大怪我を負ったらしくそれがあまりにも深手だったようで、やむを得ず学園を去ったようだった。
そして、それをやった犯人は先生達でも分からなかったという