第5章 アサガオ *齋藤タカ丸*
「じゃあ、みんなはどうなの?和歌菜と交際したいって思うの?」
「えっ!?いや、私はそんな…」
「なっ、何をいうか守一郎!確かに和歌菜は優れているが私からすればまだまだな女だから…」
「僕は好き、ずっと好き。本当はすぐにでも僕のものにしたいもん」
という喜八郎の言葉に2人も黙ってしまった。
守一郎は「へーそうなのか」なんて言ってるけど、きっと守一郎は言葉の意味は分かってないのだろう。
「だから、僕は他の誰かに和歌菜を取られるなんて絶対に嫌だ」
と、さっきからムッとしている理由がようやくわかった。
俺も同じことを思っていたからその気持ちはよく分かった。
正直俺も和歌菜の事が好き。
同室だからとかじゃなくて、女の子として・・・
だから、久々知君や喜八郎…それ以外の先輩や後輩たちが彼女と仲良くしていることにどうしても嫉妬しちゃう。
でも、俺は少しだけ他の人とは違う優越感を感じていた。
和歌菜は、俺を同室だと認めてくれたんだ。男として警戒されてないって考えると少し複雑だったけど、それでも彼女のそばに誰よりも近くにいられる。
だから、俺が下手に彼女を求めてしまったら彼女が俺から離れて行ってしまいそうで・・・
だから俺はずっと隠していた。彼女の事が好きで本当は自分のモノにしたいという感情を抑えて、ひたすらに彼女の味方だと言い続けた。
それが、今の俺にできる彼女への愛だったから